在校生の皆さん、保護者の皆さま、卒業生の皆さま、そして中学受験生の皆さん、こんにちは。
新たな年度がスタートしました。
今回の「ほぼ月刊 牧雄チャンネル 第11号」では、4月6日に行われた始業式でのお話の内容をお伝えします。
【2024年度 一学期始業式のメッセージ】
さあ、新しい年度の始まりです。
4月、来週からはオリエンテーションがあり、土曜日からはいよいよ授業がスタートします。また、4月末には遠足(中学1年は親睦合宿)があり、その後、ゴールデンウィークに入ります。ゴールデンウィーク明けにはすぐに運動会です。競技はもちろんですが、応援ダンスもあります。今年から、天候に左右されない屋内を優先しての運動会となりますので、ご家族の皆さまにも観覧していただくことができます。そして6月には中3と高2は修学旅行、中2はイングリッシュキャンプです。さあ、行事が盛りだくさんの1学期の始まりです。
皆さんには、三輪田学園での学校生活、授業はもちろんですが、行事やクラブ活動、委員会活動、模擬国連やBlueEarthProjectなどの課外活動、法政大学をはじめとする大学との高大連携プログラムなどを通じて、是非、学力だけでなく、人間力を養ってほしいと思います。
近年日本では非認知能力、世界ではSocial and Emotional Skills=社会情動的スキルと呼ばれる力が注目を集めています。三輪田学園では、より包括的に人間力と表現してきた力です。三輪田学園は、学力はもちろんですが、学校生活を通じて皆さんに人間力をつけて欲しいと考えています。それは、皆さんに幸せになってほしいからです。有名な大学に行きたい、難関大学に入りたい、結構です。三輪田学園は皆さんにしっかりと学力をつけます。勉強を頑張ってもらいます。そのために必要な支援は惜しみません。でも、大学受験のその先も続くのが皆さんの人生です。皆さんには幸せな人生を送ってほしいと願います。そして、どうやら、幸せな人生には人間力が関係しているという研究報告がアメリカを中心に複数報告されています。
Social and Emotional Skillsを育む教育を提供された子どもたちを30年、40年追跡調査したシカゴ大学の経済学者ジェームズ・ヘックマン教授(2000年にノーベル経済学賞受賞)の論文があります。それによると、Social and Emotional Skillsを育む教育を提供された子どもほど、大人になってから、例えば犯罪に手を染める割合が低く、年収が高くて安定した生活を送っているなどということが分かりました。人間力が高い人ほど、社会的・経済的に成功をおさめ、ウェルビーイング=幸せな生き方をしているということです。
では、人間力とは何でしょう。OECD(経済協力開発機構)という国際機関の定義によるとSocial and Emotional Skillsは次の3つからなるそうです。①目標達成に向かって諦めずに努力し続ける力(GRIT力など)、②他者との協働力(コミュニケーションをとりながら協力する力、思いやりなど)、そして、③感情をコントロールする力(自制心、自尊心や自信、楽観性など)です。この3つが「人生における成果を決める最も重要な要素」(『社会情動的スキル―学びに向かう力』経済協力開発機構(OECD)編著)だそうです。
GRITという言葉は、皆さんには聞き慣れないことばかも知れません(Guts(度胸):困難なことに立ち向かう力、Resilience(復元力):失敗しても諦めずに続ける力、1度や2度失敗しても3度目の成功を信じて挑む力、Initiative(自発性):自ら目標を見つけ取り組む力、Tenacity(執念):最後までやり遂げる力)。これらの頭文字からGRITと呼びます。必ずしも、犯罪を犯さないことや年収が高いことがイコール幸せな人生とは言えませんが、それらは、多くの人にとって幸せを構成する一つの要素だと言えるでしょう。
こういった人間力は、三輪田学園が元々大切にしてきた力です。三輪田学園の教育理念は「徳才兼備の女性の育成」です。徳とは豊かな人間性、才とは高い知性、学識、狭い意味では学力を意味します。この両方を備えた女性の育成が本校の使命です。しかも、才よりも徳を、学力よりも人間性を前に置いているのが本校の教育の特徴です。
三輪田学園が長年にわたり大切にしてきた徳、人間力。それらと多くの共通項を持つSocial and Emotional Skillsが、OECDの世界レポートや、アメリカの経済学者の分析によって「人生における成果を決める最も重要な要素」と報告されています。
では、人間力を鍛えるには何か特別なトレーニングが必要なのでしょうか。まずは、皆さんは、与えられた環境、つまり三輪田学園での学校生活を十分に活かしてください。目標に向かって諦めずに努力し続ける力、他者と協調する力、感情をコントロール力、これらは三輪田学園での学校生活を通して育むことが出来ます。ただし、与えられた環境に前向な気持ちで取り組むことが大切です。「めんどくさー」、「えー無理、」「何でこんなことしなきゃいけないの」、「嫌だな」・・・。そのようなネガティブから入る人は自分を下げるだけでなく、周囲の気持ちも下げます。やる気を削いでしまいます。残念ながら人間力はつかないどころか低下します。それに対して、ポジティブ思考は自分を高め、周囲も高め、相乗効果を生みます。
もう一度繰り返します。土曜日からはいよいよ授業がスタートします。また、4月末には遠足があり、ゴールデンウィーク明けにはすぐに運動会です。競技はもちろんですが、応援ダンスがあります。6月には中3と高2は修学旅行に、中2はイングリッシュキャンプに出かけます。行事が盛りだくさんの1学期が始まります。三輪田学園での学校生活、授業はもちろんですが、行事やクラブ活動、委員会活動、課外活動、大学との高大連携プログラムが始まります。それぞれを満喫してください。楽しんでください。自分を高めるために利用してください。積極果敢に挑んでください。そうすることで人間力やGRITを養うことが出来ます。
皆さん自身が、「自らの人生を自分自身で切り拓いていくことのできる逞しくもしなやかな女性」になるために必要なものは、ここ三輪田学園が提供します。
Girls, be ambitious!
【生徒に教えてもらったちょっといいお話】
アーティストのLiSAさんは、寝る前に「今日もいい日だっ!」と自分に言い聞かせているそうです。上京に猛反対していたお母様からの言葉で、「子どものころから幸せ見つけが下手くそだった」というLiSAさんへの一種の魔法の言葉として贈ったそうです。
「今日もいい日だっ!」には、今日の自分を認め、自分という存在を大切に思う気持ちが込められています。つまり、自己肯定感を高める言葉です。ジェームズ・ヘックマン教授の研究は、幼児期に形成された人間力が、その後の社会的・経済的な成功やウェルビーイングに深く関係しているという内容なのですが、近年、大人になっても人間力を鍛えることができるという報告があります。そのためにはまず、自己肯定感を高めることが大切だそうです。そうです。皆さんも眠りにつく前に、あるいは目覚めたときに「今日もいい日だっ!」そう唱えるから始めましょう。
三輪田学園はそのようなあなたをいつも応援しています。心から。
私もまだ間に合うでしょうか。
【お知らせ】
3学期の始業式で「いい人すぎるよ美術館」をご紹介しました。そして終業式では、外部の方からのお電話やメールでいただいた、三輪田学園のステキな生徒をご紹介しました。私たちはともすれば人の良くないところ探しをしてしまいがちです。もちろん良くない点を指摘してあげることは必要なことです。でも、皆さんには悪口で人とコミュニケーションをとる人、問題をあげつらう人よりも、人のいいところを見つけられる人になってほしいと思います。「アレってステキだよね」、「カッコいいよね」と人と共有する人、いいところを自分も真似てみる人になってほしいと思います。
ですから、こういうことができる人っていい人だと思う、こんなステキな方がいるよ、と三輪田のいい人・ステキな人を紹介してほしいと思っています。そのうちに、校長室の前に「三輪田のいい人・ステキな人投稿ボックス(仮)」を用意しておきますので、そのような方をご紹介ください。
自分のことを書いて投稿する必要はありません。きっとあなたのステキなところを見ている人が必ずいるはずですから。お待ちしております。