今年度卒業の高校3年生の門出を祝して、「卒業記念講演会」が行われました。伝統の学校行事で、高校生全員で拝聴しました。
講師の先生は鏡味(かがみ)麻衣子先生、三輪田学園の卒業生です。鏡味先生はライフサイエンス・生態学・環境学がご専門です。
講演のタイトルは「三輪田での学びから始まるキャリア 研究者のワークライフバランス」。
卒業生だからこそ、在校生が共感する、授業のこと、進路のことを身近にお話してくださいました。
生物と環境の生態学にご興味をもたれたきっかけはナウシカの世界への憧れ…
ミジンコの実習、琵琶湖でプランクトンの数を数えるなど、様々なフィールドワークを泥臭く取り組まれました。調査を通して、植物プランクトンの季節変化、ミジンコは亡くなると沈むのかなど、様々な疑問を持たれたそうです。
オランダ、ドイツでの海外生活のご経験もあり、海外の研究機関では「どのような考えをもっているのか、きちんと発言すること」を学ばれました。研究機関の仲間との外食も貴重な交流の場です。
広報活動ではオープンキャンパスで、ミジンコ占い、10秒で何個ミジンコがとれるかなどを企画。たくさんの方に興味を持って頂く努力をなさっています。
鏡味先生のライフイベントに伴って「研究ができなくなる」ということはなかったそうです。恵まれていたと仰っていました。
研究生活、大学教員として大切にしていることは、一人だけではできない、呼ばれたら行く、わくわくする気持ちを持つこと。時には大学や住まいなど、環境を変えるそうです。
講演の最後に、後輩からたくさんの質問が出されました。鏡味先生のAnswer集です。
・浮遊生物のプランクトンはとにかく綺麗。
・いかに新しいネタに出会うか。
・自分の自由な時間を1日作り、趣味をすること。
・わくわくのこつは一方通行にせず、インターラクションをすること。大学の授業でも心がけています。学生から質問されたら、おもしろく答える。授業のネタは1カ月前から準備して絞る。
・研究に論文は必要ですが、書くことを大変に思うタイプの研究員もいらっしゃるそうです。大学の先生の教えで「1日1行。それが止まらなくなり5行になる…。これを継続。」これはなかなか難しいこと…。
・挑戦が広がりに繋がる。
最近は偽菌類(菌界に属さない生物の総称)にも興味をお持ちの鏡味先生。鏡味先生の生態学への好奇心、探究心はどんどんと広がります。
0.5mmの世界に大きな世界が広がっていることを実感しました。これから世界の見方が変わります。
高校3年生189名、一人ひとりの人生と世界がこれから広がっていきます。